「鯖江市百年眼鏡工房」という名前に、どこか引っかかりを覚えた人は少なくないはずです。
最近よくYouTubeで見かけるCMですね。
パッと見た瞬間に「怪しい」と感じさせる違和感がありました。
- 老舗を思わせる名称
- 鯖江という眼鏡産地のブランド力
- そして“自動で度数が合う”といった驚くような性能。
調べてみると、
実在する鯖江の工房として確認できない点や、
専門家が否定する広告表現も次々と浮かび上がってきます。
それでもこの商品は、SNS広告を中心に多くの人の手に渡りました。
なぜ「怪しい」と感じる要素がありながら、これほど売れてしまったのでしょうか?
この記事では、鯖江市百年眼鏡工房を巡る一連の騒動をもとに、
単なる善悪ではなく、「なぜ信じられてしまったのか」という構造に焦点を当てて検証します。
ちなみにちゃんと鯖江市からも注意喚起が出てるhttps://t.co/sq9ODHrtIp
— へっぷし (@Heppushi) January 19, 2026
鯖江市百年眼鏡工房は「怪しい」と言われながらも売れてしまった理由3つ
鯖江市百年眼鏡工房は、不自然な点を指摘されながらも多くの人に購入されました。
その背景には、単なる誇大広告では片づけられない心理的・構造的な要因があります。
本記事では以下の3つの観点から、その理由を検証しました!
理由①|「鯖江」という地名と「YouTube広告」が生んだ二重の安心感
鯖江市百年眼鏡工房が売れてしまった最大の要因は、
「信頼できそう」と感じさせる要素が二重に重なっていたことです。
ひとつは、言うまでもなく「鯖江」という地名。
鯖江は日本有数の眼鏡産地として知られ、
- 鯖江=日本製
- 鯖江=職人
- 鯖江=品質が高い
というイメージが、多くの人の中にすでに刷り込まれています。
そのため「鯖江市百年眼鏡工房」という名前を見ただけで、
中身を詳しく確認する前に一定の信用を置いてしまう人が一定層存在しました。
そしてもうひとつが、YouTube広告という媒体そのものが持つ安心感です。
YouTubeは大企業も当たり前に広告を出すプラットフォームであり、
テレビCMに近い感覚で受け取られがちです。
そのため、
- YouTubeに広告が出ている=ある程度まともな企業
- 怪しい商品なら審査で弾かれるはず
と、無意識に判断してしまう人は少なくありません。
実際には、
YouTube広告=内容の正確性や企業実態が保証されているわけではありません。
それでも、
「鯖江の眼鏡」
「YouTubeで流れている広告」
この2つが重なったことで、
疑うより先に“信用してよいもの”として認識されてしまった可能性が高いのです。
怪しさを感じる要素があったとしても、
その違和感は
地名ブランドと大手プラットフォームへの信頼によって打ち消されてしまった
――これが、最初のハードルを一気に下げた最大の理由と言えるでしょう。
福井県鯖江市百年眼鏡工房のCM長くて腹立つ。アプリのCMに流さないで欲しい。
— 梅田洋 (@baydenyo) January 12, 2026
理由②|「技術の進歩についていけていない不安」につけ込まれた
鯖江市百年眼鏡工房の広告内容を冷静に見ると、
眼鏡を使ったことがある人なら首をかしげる点が多いのが正直なところです。
- 視力測定が不要
- 老眼も近視もこれ1本で対応
- 家族全員が使える
- 一生使える眼鏡
これらを並べれば、
素人でも「さすがに都合が良すぎる」と感じるはずです。
眼鏡は本来、
個々の視力や度数に合わせて調整するものです。
それにもかかわらず、
誰にでも当てはまる万能眼鏡をうたう時点で、
技術的に無理があると考えるのが自然でしょう。
それでも多くの人が購入に踏み切ってしまったのは、
広告が「技術の進歩」という文脈を巧みに使っていたからです。
広告では、
- 最新技術
- 独自構造
- これまでにない発想
- 従来の眼鏡とは違う
といった言葉が多用され、
「昔の常識では測れない製品なのではないか」
という印象を与えます。
とくに、
技術の進歩があまりにも速い現代において、
自分がそのスピードについていけていないと感じている人ほど、
「自分が知らないだけで、もうそんな技術があるのかもしれない」
と考えてしまいがちです。
疑問はあっても、
「ない」と断言するだけの知識や自信がない。
その心理につけ込むように、
科学っぽい説明と“時代は進んでいる”という空気感で押し切られてしまった
――これが実態に近いのではないでしょうか。
つまり理由②は、
技術進歩への不安と知識の非対称性を利用した広告手法だった
という点にあります。
※実際の動画の一部はこちら
理由③|善意や社会貢献を匂わせる表現が、疑う気持ちを鈍らせた
鯖江市百年眼鏡工房の広告や説明で特徴的だったのが、
単なる商品説明にとどまらず、
「社会的に良いことをしている」ように見せる表現
が随所に使われていた点です。
- 販売利益の一部を北陸の震災復興にあてる
- 日本の伝統産業を守る
- 職人の技術を未来につなぐ
- 高齢者や視力に悩む人を助けたい
こうした言葉は、
商品そのものの性能とは直接関係がないにもかかわらず、
購入判断に強く影響します。
人は「誰かの役に立つ」「良いことをしている」と感じた瞬間、
無意識のうちに警戒心が下がります。
とくに、
「困っている人のためになるなら」
「日本の産業を応援できるなら」
という文脈が加わると、
疑うこと自体が後ろめたく感じられてしまうのです。
その結果、
- 性能の不自然さ
- 会社情報の不透明さ
- 具体的な根拠の欠如
といった点に気づいても、
「悪意はないはず」
「詐欺ではないだろう」
と、自分の中で違和感を打ち消してしまいます。
これは決して購入者の判断力が低かったわけではありません。
善意や社会貢献を前面に出す表現は、それだけで“疑ってはいけない空気”を作る力を持っているのです。
これが理由の一つと言えるでしょう。
結果として、
- 鯖江という地名やYouTubeという媒体への信頼
- 技術進歩への期待と不安
- 社会貢献という物語
といった要素が重なり、
冷静な検証よりも「信じたい気持ち」が先に立ってしまった
――これが、鯖江市百年眼鏡工房が怪しいと思われつつも売れてしまった理由だと考察しました!
深掘り:なぜこの手の“怪しい広告”は何度も繰り返されるのか?
鯖江市百年眼鏡工房の件は、決して特殊な例ではありません。
同様の手口は、形を変えながら何度も繰り返されています。
その背景について深掘りしてみました!
当サイトでは次の3つの構造的な問題があるのではないかと考察しました。
背景と最新の実態
鯖江市百年眼鏡工房だけでなく、
「怪しい商品広告」
による消費者トラブルは、毎年のように発生し続けています。
その背景には、ネット広告の仕組みと消費者心理、そして法規制・取り締まりの限界が絡み合っています。
① インターネット広告の審査が甘い
近年、インターネット広告の量が急増したことで、
まず大きいのが、インターネット広告そのものの審査体制の弱さです。
YouTubeやSNS広告は、
テレビCMのような厳格な事前審査が行われているわけではありません。
そのため、
- 表現が誇大でも
- 科学的根拠が曖昧でも
- 企業実態が分かりにくくても
一定の条件を満たせば、広告が配信されてしまうケースがあります。
実際、SNSや動画プラットフォームでは過去にも、
- 有名人を無断で使った投資広告
- 効果を断定できない健康商品
- 実態不明の通販広告
が問題になってきました。
これは「完全にチェックしていない」というより、
膨大な広告量に対して、審査が追いついていないというのが実情です。
その結果、
「広告が出ている=一定のチェックは通っているはず」
という利用者側の思い込みと、
プラットフォーム側の審査ギャップが生まれ、
怪しい広告が繰り返し世に出てしまうのです。
※過去記事にてネット広告の審査をすり抜けてしまう仕組みについて解説してます
② 行政処分が出ても“次の事例”がすぐに出る
消費者庁は過去にも、通販業界に対して
- 誇大表現
- 不十分な最終確認画面表示
- 健康食品等の根拠のない効能訴求
などを理由に 行政処分や措置命令を出しています。
しかし、処分が出ても別の商品・別の広告で、同じような手口がすぐに登場しています。
これは
- 広告を出す側が迅速に別手法に切り替える
- 法規制の網を完全にすり抜けるテクニックがある
- プラットフォーム(SNS等)の審査が追いつかない
という現実があるためです。
実際鯖江市でも過去に同じような案件が確認されています(老眼鏡ペーパーグラス専門店HPより)
② 行政処分が出ても、同じ手口が形を変えて現れるから
2つ目は、行政対応が“後追い”にならざるを得ない構造です。
消費者庁などが問題視し、
措置命令や注意喚起が出るケースはこれまでもありました。
しかしそれは、被害が広がったあとであることがほとんどです。
さらに、
- 商品名を変える
- 表現を少しマイルドにする
- 別会社・別サイトとして展開する
といった方法で、
ほぼ同じ手法が再登場することも珍しくありません。
つまり、
「違法と判断されたら終わり」ではなく
「指摘される前に売り切る」
というビジネスモデルが成立してしまっているのです。
このため、
一件が収束しても、似たような広告が次々と現れる状況が続いています。
※ほぼ鯖江市百年眼鏡工房と同様の広告を載せているYouTubeリンクはこちら
③ 消費者の不安や情報不足につけ込む構造があるから
そして最も根深いのが、
人の心理そのものが、何度も同じ手口に引っかかってしまう点です。
- 技術の進歩についていけていない不安
- 健康や老後への心配
- 専門知識がないことへの引け目
こうした感情は、誰にでもあります。
そこに、
- 「最新技術」
- 「これまでの常識とは違う」
- 「専門家が開発」
といった言葉が重なると、
「自分が知らないだけかもしれない」
「もうそんな時代なのかもしれない」
と考えてしまい、
違和感があっても強く否定できなくなるのです。
これは鯖江市百年眼鏡工房に限らず、
過去の健康商品、投資案件、通販トラブルなどにも
共通して見られる構造です。
まとめ|「怪しい」と感じても、誰でも引っかかり得る構造があった
鯖江市百年眼鏡工房が「怪しい」と言われながらも売れてしまった背景には、
単なる誇大広告や個別企業の問題だけでは説明できない、
いくつもの構造的要因が重なっていました。
- 鯖江という地名やYouTube広告が生んだ、最初の安心感
- 技術進歩への不安につけ込み、「自分が知らないだけ」と思わせる説明
- 善意や社会貢献をにおわせ、疑うこと自体をためらわせる表現
そしてそれらを支える、
- インターネット広告の審査の限界
- 行政対応が後追いにならざるを得ない現実
- 消費者の不安や情報不足という普遍的な心理
これらが組み合わさることで、
「怪しいとは思ったが、否定しきれなかった」状態が生まれていたのです。
重要なのは、
今回の件を「見る目がなかった」「騙された側が悪い」と片付けないことです。
同じ条件がそろえば、
誰でも同じ判断をしてしまう可能性があるからです。
そして、この構造が変わらない限り、
次の「最新技術をうたう万能商品」は、
形を変えてまた現れるでしょう。
だからこそ必要なのは、
個別の商品を叩くことではなく、
「なぜ、また信じてしまったのか」
「どこで判断を誤りやすいのか」
を一度立ち止まって考えることなのかもしれません。
この問題は、
過去の話でも、他人事でもなく、いま現在も進行中の話なのです。
それでは引き続き当ブログをよろしくお願いします!

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